ダブルタイヤ
飯塚事件を扱ったNHKBSの番組を見ました。事件に係わった警察官、弁護士、新聞記者たちのインタビューを中心に構成されていました。私は、「これは冤罪だ」とは、思いませんでした。ただ、車好きとして気になる事がありました。元死刑囚が所有していた、マツダ・ボンゴの目撃証言です。ボンゴなんて、よほどの車の知識が無いと、知らないと思うのです。
飯塚事件は、1992年に福岡県で発生した女児2人の殺害事件です。登校中の小学1年生2人が行方不明となり、殺害されて山中に遺棄されているのが発見されました。犯人とされる人物が逮捕され、既に死刑が執行されています。その元死刑囚が所有していたのが、マツダ・ボンゴです。珍しい車なので、目撃証言が重要視されているようです。他メーカーの似たような車、日産やトヨタのワンボックス車との決定的な違いが、「後輪のダブルタイヤ」です。
事件を担当した元刑事は、ダブルタイヤにこだわっていました。ダブルタイヤはマツダ・ボンゴの特徴です。マツダは、タイヤハウスを無くして荷室を広く使えるようにするために、後輪の直径を小さくしました。タイヤを小さくした事で減るタイヤの接地面積を補うために、片側に2本のタイヤを付けるダブルタイヤを採用しました。ボンゴの最大の特徴ですが、ボンゴがダブルタイヤなのを知っているのなら、目撃証言で、「ボンゴだった」と、言うと思います。遺留品発見現場付近のボンゴの目撃者は、「ダブルタイヤ」と「トヨタや日産ではない」を、特徴として挙げています。遠回しな表現だと、私は思いました。
拉致現場とされる付近でも、ボンゴの目撃証言があります。現在においても、トヨタ・ハイエースと日産・キャラバンの区別がつく人は少ないと思います。軽ワゴンのスズキ・エブリイとダイハツ・ハイゼットカーゴも。車の知識が無いと無理です。私以外の人が、車のどこを特徴として捉えているかは、わかりません。タイヤが2本あるのを見たのか、後輪が小さいからダブルタイヤだと知識で判断したのか。なぜ、タイヤが2本あるのを特徴だと捉えたのでしょう。車の知識がないと出来ないと思うのです。そうだったら、「ボンゴだった」と、言うと思うのです。
2022年5月16日