激突!
スティーヴン・スピルバーグ監督の初期の作品として知られる映画、『激突!』(1971年、アメリカ)。サラリーマンが、殺意を持ったタンクローリーに追いかけ回される映画です。後に『ジョーズ』(1975年)を生み出す才能の片鱗を感じさせます。世間的な評価も高いですが、私には、殺意を持って追いかけてくるタンクローリーよりも怖いものがあります。それは、主人公の運転です。
タンクローリーを追い越してすぐにガソリンスタンドに入ったり、タンクローリーを追い越したらスピードを緩めたり、不可解な走り方をしています。追い越したら視界から消えるのが礼儀だと思います。走る順番を入れ替えるだけなら、追い越す意味がありません。遅いタンクローリーにはイライラするのに、自分は後ろから速い車が来ないかを気にしません。逆の立場を考えない運転です。主人公の運転は、私を不快にさせます。
終盤は白々しくて見ていられません。通行止めのバリケードに激突して口から出血しますが、ブレーキを掛けずに交差点を曲がろうとしたからです。ブレーキを掛けて曲がれば何も起きません。逃げ切れたと思われた矢先に発生するエンジントラブルも、寿命のある部品の点検を怠っていたからです。タイヤの摩耗に気づかずにパンクさせるのと同じで、原因と責任は主人公にあります。
ご都合主義で許せるレベルを超えています。ハンドルを持つ位置が不適切、カーブの途中でハンドルを切り足しては戻すなど、してはいけない運転をしています。基本ができていないので真っすぐ走れず、頻繁に舗装路を逸脱します。主人公の運転の危険さは、無知と危険への無頓着が原因だと思います。運転が下手なのは仕方がないけれど、危険に無頓着なのは許せません。事故を起こす前に運転をやめるべきです。
2022年9月26日