3組目
朝日新聞朝刊の連載、『「ツレ」が発達障害』が、11月22日に終わりました。発達障害を持つ配偶者の視点には立たず、夫婦の問題を一方的に押し付ける姿勢に不満を持っていました。取材する記者も、ふりまわされる側に肩入れして、大仰な見出しを付けているように感じました。「少しは歩み寄れよ」と思っていたら、3組目が歩み寄った事例でした。しかし、「私にはできない」と思いました。
発達障害を持つ夫と、妻の話です。妻に取材をし、本文中では女性と表記されます。「人の気持ちがわからない夫」と、見出しが付いています。夫婦の手と思われる写真には、「お互いに価値観をすりあわせることで、生活での『困り感』はほとんどなくすことができている」と、説明書きがあります。本文中には、“お互いの感情が通じ合い、落ち着いてきたと思えたのは、夫が手紙を書いてから5年を過ぎた頃だった。”とあります。子どもが頭をぶつけて血を流していても、「ちゃんと見ていたよ」と平然と言う夫との関係を、そこまで持って行った女性は凄すぎます。また、その手紙もよかったのです。
“何度、同じ間違いを繰り返しても、夫を見捨てない女性への感謝の気持ちがつづられていた。「おれにとって、尊敬すべきスーパーマンであり、色んなことを教えてくれる先生であり、おれが謝らなくてはならない被害者でもある。同時に最愛の人です」。最後にこう結ばれていた。「愛しているよ。これからもよろしくお願いします」”
私から見ても、定型発達の人はスーパーマンです。社会に適応する高度な技術を持っているように見えます。私は、あいさつのタイミングも分からないし、雑談のお題も思いつきません。怒る人はいても、正解を教えてくれる人は滅多にいません。身近に先生がいる夫がうらやましいです。
私には、夫はオサムよりも謙虚に見えます。“先生”と表現しているところからは、聞く耳を持っているのが窺えます。しかし、簡単ではありません。これほどの歩み寄りを求めるのは、女性の負担が多すぎると思いました。家庭でも問題を解消し、夫の仕事の問題も解消して仕事を楽しくさせてしまった女性は凄すぎます。私にはできないと思います。人の気持ちがわからない夫と、どうやって価値観をすりあわせていったのか、詳しく聞いてほしかったです。
2022年11月28日