「神様」のいる家で育ちました
『「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜』(菊池真理子 著、文芸春秋)を読みました。親が宗教を信仰している子どもの視点から描いた漫画です。著者を含む7人の事例を描いています。集英社での連載が中止され、文芸春秋から単行本が発行されたことが話題になっていました。そのため、重い内容だと思って避けていましたが、読んでみると著者自身の事例以外はライトでした。
描かれた7人は信仰をやめるか、信仰から距離を取っています。信仰をやめる“きっかけ”があった人もいます。第1話は、兄がもたらした“ある物”によって自分が好きなものを見つけます。第2話は、友人のアドバイスによって苦痛から解放されます。どちらも、教義によって禁止されているものでした。2人は、教義が自分の幸せを妨害していることに気がついたのだと思います。きっかけによって、幸せへの道を見つけたように見えます。
信仰をやめ、親との関係が壊れなかった人もいるし、断絶した人もいます。私も宗教2世なので、その難しさを知っているつもりです。信仰に疑問を持つ自分が信仰をやめるのは簡単ですが、親の信仰をやめさせるのは不可能だと思います。自分だけが信仰をやめればいいという簡単な問題ではありません。親子の関係が壊れてしまう恐怖があります。私は、「信仰しない」と伝えてあります。教義に苦しめられたことはありませんが、区切りとして必要でした。関係が壊れなかったのは幸いでした。
私は、「宗教に無関係な人に伝わるだろうか?」と思いました。著者も、解決方法を思いついていないと思います。私も、どうにもならない問題だと思っています。「愚痴のようなものだけど、知ってほしい」、だと思います。幸せの形が違うとしか、言いようがないかな。他人だったら離れればいいけど、親子だから。嫌いならいいけど、好きだから。ベストは、親が信仰をやめてくれること。でも、それは不可能。幸せは、どこにある?
2023年3月20日