映画『天空の蜂』(2015年)に、209系電車が登場します。これが、不自然すぎて気になっています。劇中で209系が走っている場所は、福井県敦賀市のはずです。209系はJR東日本の電車です。福井県はJR西日本のエリア。福井県で209系が走っているはずがありません。あまりにも不自然です。このシーンを見てから映画のすべてが滑稽に見えています。
東野圭吾の小説が原作です。新開発の自衛隊ヘリコプター「ビッグB」を遠隔操作で離陸させた犯人は、福井県の高速増殖原型炉「新陽」の上空でホバリングさせます。要求は、日本にある新陽以外の原子力発電所を使用不能にすること。犯人によって爆発物が積み込まれたビッグBが燃料切れになるまで8時間。江口洋介演じるビックBの設計士や本木雅弘演じる新陽の設計士たちが、大騒ぎしながら事件に対応していきます。
209系が映るのは、事件と関係がありそうな元自衛官の自宅アパートを福井県警の刑事が訪れるシーンです。1995年の時代設定に合わせた日産・スカイラインの背後を、209系が走っていきます。4両編成を2本併結した8両編成。帯は緑色ですが、VFXで色を変えたのでしょう。窓が1カ所埋められているのはトイレを設置する改造を受けたから。これは、房総地区へ転用された209系。内房線か外房線でしょう。どう見ても、ここは千葉県。
Googleマップで探したら、内房線の木更津でした。なぜ、線路脇のアパートを撮影場所に選んだのでしょう。なぜ、VFXで帯の色を変えてまで209系を入れたのでしょう。もう、1995年の小浜線は非電化とか、複線電化なら北陸本線とか、そういう問題じゃなくなっちゃう。もしかしたら、架空の鉄道なのかも。ビックBも新陽も架空だから、鉄道も架空なのかも。福井県敦賀市を走る209系、他のあらゆる粗をどーでもよくさせる効果はあります。
2024年4月30日