『網走番外地』(1965年)で、映画史上最大の衝撃が走りました。冒頭で高倉健たちが護送されてくる網走駅は、網走駅ではありません。網走駅が、こんなに海に近いはずがありません。網走駅があるのは、海辺じゃない。駅名標は「網走駅」になっているけれど、網走駅じゃない。地形から違います。網走駅の裏は、海じゃなくて山だし。移転したという話も聞いたことがないし(昭和7年にしてるけど)。冒頭の嘘で、興ざめしてしまいました。
網走番外地の網走駅は、駅前に建物がありません。遠くに山が見えるだけです。網走駅は街中にあるので、時代設定の昭和36年ごろでも駅前に建物が1つもないということはないはずです。たぶん、最果て感を出したかったのでしょう。本物の網走駅では作り手のイメージと合致せず、別の駅を網走駅に設定して撮影したのでしょう。子供のときに家族旅行で行きましたが、網走の最果て感はゼロです。網走刑務所の旧建物を移築した博物館網走監獄のほうが人里離れた山中にあり、最果て感があります。
ロケ地は、北浜駅説と藻琴駅説があるようですが、両駅で撮影したのだと思います。ホームのシーンが北浜駅で、駅舎の外のシーンが藻琴駅だと思います。海辺にあるイメージが北浜駅と合致し、駅舎のイメージが藻琴駅と合致したのでしょう。そうやって、作り手のイメージする最果ての地にある網走駅を作り出した。本物の網走駅から近く、藻琴駅が3駅目で北浜駅は4駅目です。住所も網走市。でも、網走駅じゃない。残念ながら、見渡す限り建物がない偽装網走駅前のロケ地は不明です。
昔の映画って、いいかげん。最果ての地に最恐の刑務所があるという、おとぎ話ですよね。地名ですよね。知床とか常呂とか稚内に刑務所があったら、成立しなかったはず。読みが恐くないもの。名作とされているけれど、評価したみなさんは偽装網走駅が気にならないのでしょうか。行ったことがあれば、網走駅じゃないことに気がつくと思うのだけど。網走刑務所は本物なので、ロケには行っているんですけどね。五翼放射状平屋舎房にもなっているのに。網走駅じゃない網走駅だけがね、残念。
2026年4月13日