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『張込み』(1958年の映画)

 面白い映画ではありません。楽しい話ではないので、観ても楽しい気分になりません。しかし、冒頭の夜行列車のシーンだけは面白かったです。

 

 2人の刑事が、横浜駅を発車した急行「さつま」に飛び乗るシーンから始まります。ホームに駆け込んできた2人は、走り始めている列車に飛び乗ります。旧型客車はドアが手動で開いたまま走行できるので、発車後の列車に飛び乗ることができたのです。東京駅始発の列車は満席で、座席に座ることができません。2人の刑事は、通路に座り込みます。京都で座席が1つ空き、大阪で2人目も座席に座ることができたようです。

 

 これで、佐賀まではキツイ。非冷房の車内は、すごく暑そうです。満席のボックスシート。通路に座り込む人。通路に座り込んだ刑事は、赤ちゃんを抱く女性の横で煙草を吸っています。禁煙車なんてないからね。停車駅で駅弁と酒を調達しつつ、列車は進みます。トイレの描写はありませんが、当時のトイレは線路に垂れ流しのはず。これで24時間は過酷すぎるでしょ。終点の鹿児島まで行くには、2晩だし。途中下車して、ホテルに泊まらないと無理でしょ。

 

 撮影に使われているのは、10系客車です。軽量化のために薄い鉄板を使ったから痛みが激しく、短命だったやつ。車内のシーンは最後尾の車両を貸し切って撮影したらしい。飛び乗るシーンは、43系なんですけどね。別撮りの走行シーンも、その都度違う編成になっています。そこは、時効でしょう。それより、白黒なのが惜しい。カラーで残してほしかった。なぜ、カラーフィルムに力を入れない?

 

 作り手に、鉄道への思い入れはないのだろうと思います。そして、重要視もしていない。劇中で映る佐賀駅の時刻表には、乗ってきた列車もないし、帰りに乗る「西海」もありません。「さつま」も「西海」も、実際の発車時刻とは違いますし。翌日中に佐賀に着けないはずだし。わざわざ、発車時刻を変えるメリットが思いつきませんが。凡人には想像もできない、深い理由があるのでしょう。この映画の謎は、列車の発車時刻を変えなければいけなかった理由でしょう。

 


2026年7月6日

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